原子力船特殊規則

(昭和四十二年十二月六日運輸省令第84号)

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最終改正:平成元年二月二七日運輸省令第5号


 船舶安全法(昭和八年法律第11号)第2条第1項の規定に基づき、 原子力船特殊規則を次のように定める。

(趣旨)
第1条  船舶安全法(昭和八年法律第11号)第2条第1項の規定により原子力船について施設すべき事項及びその標準に関する特例は、この省令の定めるところによる。

(定義)
第2条  この省令において「原子力船」とは、推進機関に軽水減速軽水冷却型原子炉を使用する船舶をいう。
 この省令において「原子炉施設」とは、原子炉設備、放射線管理設備、核燃料物質取扱設備又は放射性廃棄物設備をいう。
 この省令において「原子炉設備」とは、原子炉本体、原子炉冷却装置、原子炉制御装置、原子炉格納容器及びこれらの附属装置をいう。
 この省令において「放射性廃棄物」とは、実用舶用原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和五十三年運輸省令第70号)第2条第2項第2号の放射性廃棄物をいう。

(船体)
第3条  原子力船は、隣接する二区画室(区画係数が〇・三三以下の場合は、三区画室)に浸水した場合においても必要な浮力及び復原性を有するように船体を区画したものでなければならない。

第4条  原子炉格納容器に近接する船体の部分は、衝突、座礁等による原子炉格納容器の性能の低下を防止することができるものでなければならない。
 原子炉格納容器のある区画室は、当該容器に内蔵する装置が損傷した場合に、不当な量の放射性物質が漏えいしないものでなければならない。

第5条  原子力船の防火構造は、次の各号に適合するものでなければならない。
 火災の場合に、原子炉施設を保護することができること。
 船舶防火構造規則(昭和五十五年運輸省令第11号)第8条から第23条までの規定によること。

(操だ設備等)
第6条  原子力船に備える操だ設備、航海用具及び電気設備は、二組の動力による操だ装置を備える等衝突及び座礁を防ぐため必要な措置が施されたものでなければならない。
 原子力船に備える排水設備、消防設備及び電気設備は、衝突、座礁等に際して、原子炉施設に事故が発生しないように必要な措置が施されたものでなければならない。
 飲用に適する水を取り扱う管装置は、飲用により放射線障害を生ずるおそれがある液体を取り扱う管装置と区別されなければならない。ただし、飲用に適する水を飲用により放射線障害を生ずるおそれがある液体を取り扱う管装置に導く場合において、飲用により放射線障害を生ずるおそれがある液体が飲用に適する水を取り扱う管装置に逆流しないときは、この限りでない。
 原子力船に備える救命設備は、非常の際に放射線障害を防止するため乗船者が安全かつ迅速に避難することができるものでなければならない。

(原子炉施設)
第7条  原子炉施設は、動揺、傾斜、衝撃、振動、圧力、自重、付加荷重、熱、放射線、腐しよく等によつて当該施設の性能がそこなわれないものでなければならない。

(原子炉設備)
第8条  原子炉設備は、船舶が沈没した場合又は当該設備が故障した場合においても原子核分裂の無制御な連鎖反応を生じないようなものでなければならない。
 放射線により著しく性能が低下するおそれがある原子炉設備の部分は、放射線に十分耐えるものでなければならない。ただし、十分な放射線しやへい物を設けた場合又は放射線により当該部分の性能が低下した場合に当該部分の補修又は取替えができるときは、この限りでない。

(原子炉冷却装置)
第9条  原子炉冷却装置は、次の各号に適合するものでなければならない。
 冷却材の圧力並びに冷却材中の不純物及び放射性物質の濃度を原子炉設備の運転に支障を及ぼさない値に保つことができること。
 冷却に要する十分な量の冷却材が安定して循環することができること。
 冷却材が漏えいしないこと。
 冷却材が不足した場合に必要な量の冷却材を常に補給することができること。
 保守及び保安上必要な止め弁、安全弁、逃し弁等が設けられていること。
 崩壊熱を十分に除去することができること。

(原子炉制御装置)
第10条  原子炉制御装置は、確実かつ迅速に原子炉を制御することができ、かつ、冷却材の温度、圧力及び流量、中性子束密度その他の原子炉の制御に必要な事項を計測すること等ができるものでなければならない。
 原子炉制御装置は、当該装置のため必要な動力源がなくなつた場合又は当該装置を誤つて操作した場合に、これにより生じる危険を減少させるように作動するものでなければならない。

(原子炉格納容器)
第11条  原子炉格納容器は、次の各号に適合するものでなければならない。
 内蔵する装置が損傷した場合に不当な量の放射性物質が漏えいしないこと。
 安全弁及び逃し弁が設けられていないこと。
 船舶が沈没した場合に水圧により当該容器が破壊されることを防ぐため必要な圧力平衡装置が設けられていること。
 当該容器の外壁を貫通する管は、放射性物質が当該容器から流出することを防ぐため必要な止め弁又は逆止め弁が設けられていること。

(非常装置等)
第12条  原子炉設備には、非常停止装置及び非常冷却装置を備えなければならない。
 原子炉設備には、その安全上必要な予備の装置を備えなければならない。

(緊急時の操作場所)
第13条  原子炉設備に事故が発生し、又はそのおそれがある場合に緊急に操作する必要がある装置は、通常の操作場所以外の適当な場所においても操作することができるものでなければならない。

(非常電源等)
第14条  原子力船には、主電源の事故の際に、原子炉冷却装置及び原子炉制御装置に動力を供給することができる非常電源その他の動力源装置を設けなければならない。
 原子炉冷却装置及び原子炉制御装置のうち、原子炉の保安を確保するため特に必要な機器には、無停電電源装置又はこれと同等以上の性能を有する装置を設けなければならない。

(非常推進動力源装置)
第15条  推進機関に独立して運転することができる二個以上の原子炉を使用しない原子力船には、非常推進動力源装置を設けなければならない。
 非常推進動力源装置は、推進用の原子炉の事故の際に、当該非常推進動力源装置への切替えをできるだけ短時間に行なうことができるものでなければならない。

(放射線管理設備)
第16条  原子力船には、放射線障害を防止するため必要な放射線しやへい物、隔壁、甲板その他の構造物及び通風装置を設けなければならない。

第17条  放射性物質による汚染の除去を必要とする場所は、当該汚染を除去しやすい構造のものでなければならない。
 原子力船には、前項の場所に蓄積した放射性物質による汚染を除去するため必要な装置及び用具を備えなければならない。

第18条  原子力船には、外部放射線の線量当量率、線量当量、空気中及び水中の放射性物質の濃度並びに放射性物質によつて汚染された物の表面の放射性物質の密度を計測する等のため必要な装置又は用具並びに放射線障害を防止するため必要な防護具を備えなければならない。

(核燃料物質取扱設備)
第19条  核燃料物質取扱設備は、次の各号に適合するものでなければならない。
 核燃料物質を炉心に安全な速度でそう入し、かつ、炉心から安全な速度で取り出すことができること。
 動力源が停止した場合においても核燃料物質が落下しないこと。
 放射性物質が漏えいしないこと。
 核燃料物質が臨界に達するおそれがないこと。
 外部放射線による放射線障害を防止することができること。
 原子炉から取り出した核燃料物質が過熱しないように冷却することができること。

(放射性廃棄物設備)
第20条  放射性廃棄物設備は、次の各号に適合するものでなければならない。
 排出する放射性廃棄物による放射線障害を生じないようにすることができること。
 放射性廃棄物以外の廃棄物を処理する設備と区別されていること。ただし、放射性廃棄物以外の流体状の廃棄物を流体状の放射性廃棄物を取り扱う設備に導く場合において、流体状の放射性廃棄物が放射性廃棄物以外の流体状の廃棄物を取り扱う設備に逆流するおそれがないときは、この限りでない。
 放射性物質が漏えいしないこと。
 排出する気体状の放射性廃棄物を浄化する装置を設ける場合にあつては、ろ過装置の放射性物質による汚染の除去又はろ過装置の取替えが容易なものであること。
 当該設備に事故が発生した場合に、放射性物質による汚染ができるだけ広がらないこと。

   附 則

 この省令は、公布の日から施行する。
   附 則 (昭和五五年五月六日運輸省令第12号) 抄

(施行期日)
第1条  この省令は、昭和五十五年五月二十五日(以下「施行日」という。)から施行する。

( 原子力船特殊規則の一部改正に伴う経過措置)
第11条  現存船である原子力船の防火構造については、なお従前の例によることができる。

   附 則 (平成元年二月二七日運輸省令第5号) 抄

(施行期日)
第1条  この省令は、平成元年四月一日(以下「施行日」という。)から施行する。


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